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第464話
抱き締めてくる長岡の背に触れた。
大好きな人。
いつもしあわせな気持ちにしてくれる魔法使いみたいな恋人。
長岡と一緒にいると時間は早く過ぎるし、なんでも美味しくなるし、とても安心するし、本当にすごい。
「連れて帰りてぇ」
「しますか?」
「ん゛ー…、帰すよ。
もう弟も春休みで一緒に遊ぶんだろ。
じゃねぇと、土日に俺のに出来ねぇしな」
すりすりと顔を動かされると首筋が擽ったい。
つい、ふふっと堪えきれない笑みが溢れる。
「敏感だなぁ」
「擽ったいだけですって…。
正宗さんにも、しちゃいますよ」
「良いぜ。
困ることはねぇよ」
長岡は身体を離すと、ん、と両手を広げた。
「こうやって、こうです」
その首筋に顔を埋めると、長岡のにおいが濃くかおった。
細いようでしっかりとした男のそれ。
胸鎖乳突筋もしっかりしていて、喉仏もくっきりしていてる。
綺麗な顔とその男らしい箇所のギャップにクラクラしそうだ。
だけど、今はクラクラしている場合ではない。
すりすりと猫が自分のにおいを擦り付ける時のようにくっ付く。
「ははっ。
良いな、これ」
「擽ったくないですか?」
「遥登ほど敏感じゃねぇからな。
それより、嬉しいの方が勝つし。
クソ可愛い」
首に顔を埋めたままマスクをずらすと、ちゅっと首を吸ってみた。
「遥登」
「ちょっとだけ…。
口は拭きますから」
「遥登だけ狡いだろ」
え?と思うのとどっちが早かったか。
肩を捕まれ、綺麗な顔が近付いてくる。
口へのキスではない。
頭で分かっていてもドキッとする。
チュッ
「少しだけな」
ほんの少し増えた接触が、すごく、すごく嬉しい。
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