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第466話

三条の帰宅を確認してから長岡はつい先程までいた駐車場へと踵を返した。 風が吹くと、自分から三条のにおいがするようだ。 気のせいではなく本当にする気がするのは、今日は沢山抱き締めたから。 細くてあたたかくて清潔なにおいがして、抱き締めると生きていると実感する。 そんな子に、今日は首へとキスをされた。 これでご機嫌じゃない方がおかしい。 それにしても、別れ際のあの顔…… 三条の眉毛が下がり、耳もへちゃ…となる。 それが可愛くもあり、別れ惜しくもなる。 沢山くっ付けばくっ付くほど別れが寂しい。 離れがたい、というやつだ。 今日は首にキスまでしたので殊更だった。 ポケットからスマホを取り出しスイスイと文字を入れ込む。 『繋げるだけで良いから通話しねぇか』 すぐに了承が返ってくると画面が切り替わる。 「悪い。 風呂だろ。 繋げといてくれるだけで良いから」 『いえ。 嬉しいです』 ブンブンっと尻尾が揺れているのは三条だけではない。 「俺も運転するし、会話になんねぇかもだから気にせず風呂に入れよ」 『はい』 軽くなった足取りで駐車場へと辿り着くとコンドは運転。 それでも、三条と繋がっているという事実が2人をご機嫌にさせていく。

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