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第467話

ゴロンとベッドに横になると画面の向こうで本を読んでいた三条がそれを閉じた。 『寝ますか?』 「んー。 もう少しダラけててぇけど、することもねぇんだよな」 デジタル時計はもう少しで2時になると示しているが、寝るのが惜しい。 そんな気分だ。 積ん読も沢山ある。 読むならこういうタイミングが良いのは解るのだが、今から読みはじめたら朝までのパターンだ。 それは少し迷ってしまう。 「けど、遥登はそろそろ寝ろ。 体内時計狂うぞ」 『平気です。 正宗さんといたいです』 意識しなければこういうこともサラリと吐ける恋人。 年の離れた弟もいるせいか、気持ちを表現する言葉に対しての抵抗が薄い。 大好きや大切、愛情の込められた言葉をきちんと手渡してくれる。 それがとても嬉しいので、自分もきちんと手渡そうと思うほど。 「じゃあ、電気だけ消すかな。 寝落ちたらそれで良い」 『はい』 三条が寝転んだのを見てから消灯した。 そんな時、ふと悪戯心が芽を出す。 「遥登」 『はい?』 「一瞬目ぇ閉じてくれるか」 『はい』 どんな顔をするのは解るが、それでもその顔が見たい。 チュ リップ音に三条の顔がきゅっとした。 『……寝かせるつもり、ありますか…』 「あるよ。 思春期の遥登が“ナニ”を想像したのか俺は分からねぇけどな」 『そういうところですよ…』 「俺は遥登のそういうところ好きだけどな」 ゆっくりと開かれる目に笑顔を返す。 『俺も、そういうところ含めて好きです…』

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