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第477話

「……普通、の…が良いです」 「苺、嫌いか?」 「……好きですけど………苺味の、食べた時に……思い出しちゃいます、から…」 スーパーやコンビニでは苺か抹茶味の新商品がずらりと並んでいる。 期間限定と謳えば、手にとってしまうのは消費者の性だ。 それを手に取る時、口にする時、この淫らことを思い出してしまうなんて。 考えるだけで勃つ。 いや、もう勃っているけど。 ニヤァと口元を緩める恋人はニタニタと嬉しそうな顔を惜しげもなく見せている。 こんな顔でも下品にならないのが、この顔の利点だ。 「思い出してくれれば良いだろ」 「…ずっと、考えてますから…思い出すとかそういうの…あれです…」 「あれなのか?」 「あれです…」 目を泳がせソワソワしてしまう三条。 恥ずかしがっていても、きちんと言葉を伝えようとしている姿に長岡のニヤニヤは止まらない。 長岡は体勢をそのままに手だけを伸ばしてサイドチェストから避妊具を取り出した。 最近のセックスで使うからそこに片付けいるのは理解していても、以前まではクローゼットに片付けられていた物がこんな近くにあることにドキドキしてしまう。 「じゃあ、苺味は今度な」 「……、はい」

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