495 / 514

第495話

「遥登、大丈夫か?」 シャワーの音が聞こえる浴室に向かい声をかける。 本人は大丈夫だと言うが心配なので、洗濯を言い訳に脱衣所に居た。 倒れる音が聞こえたら直ぐ様ドアを開ける。 本当なら、後処理もしたいのだが三条本人が自分でやりたいとお願いしてきたので致し方ない。 あんな眠そうなら顔を見たらシャワーでも気が気じゃないだろ。 「大丈夫です…」 「全部出してけよ」 「…はい」 「なんで残念そうな声してんだよ」 「だって…」 シャワーを浴びて眠気が覚めれば良いが、それでも眠そうなら少し昼寝でもするか。 「折角もらったから…」 可愛い恋人の声にまたムラムラしてくる。 猿でももっと利口じゃないかと思えるほど、三条のことになると途端に頭が悪くなる。 別にセックスがすべてだとは思っていない。 セックスは恋人同士の愛情表現の仕方の1つ。 だけど、身体の関係がなくても三条は大切な家族だ。 それは絶対に覆らない事実。 「んなこと言ってると俺も入るぞ」 「…俺の指輪持って…待ってて、ください」 「……分かった。 なんか軽く食うもん探してくるから転ぶなよ」 「はい。 気を付けます」 シャワー前に預かった指輪を握り締めながら、部屋へと戻る。

ともだちにシェアしよう!