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第498話

薬を塗られている長岡はニヤニヤしながらアイスを吸っている。 整った顔は、そんな表情すら似合う。 「なんですか…?」 「いやぁ、愛されてんなぁって」 「……好きじゃなきゃ、あんなことしませんよ…」 「あんなことって?」 あんなこと。 それは、セックスだ。 好きでもない人とセックスをする趣味はない。 恥ずかしいのは長岡とだけ。 恥ずかしいことを見せられるのは長岡だけ。 そう教えてくれた人とだけの行為だ。 分かっているのに聴いてくる狡い恋人。 「……分かってて聴くのは意地が悪いです…」 「言われてぇんだよ。 言ってくれたら俺が嬉しい」 「…………セックス、です」 「ん。 すっげぇ嬉しい」 にっこりと甘い笑顔にギュンッとする。 この人は、こういう時ばかり自分の顔の良さを理解するんだから困る。 好きが加速してしまう。 「ほら、遥登も食え。 溶けるぞ」 「あ、ありがとうございます」 長岡が持ってくれているアイスを吸うと甘くて冷たくて喉がスーッとする。 それを見てまた長岡はニヤッとした。 「フェラしてるみてぇ」 「食べ物ですよ…っ」 あぁ、もう。 折角綺麗な顔なのにコレだ。 だけど、コレを含めて愛している。 この愛は生ぬるいものではない。 もっと深くて大きくて重くてドロドロで。 それでいて、世界で1番大好きな感情だ。

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