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第500話

「とまと」 「トマトだね。 一緒に買ったもんね」 プランターにミニトマトの苗を植える父を指さす綾登。 部屋からじっと見ていたかと思えば、ソファで洗濯物を畳む母親の服を引く。 「あーとも」 「行くの?」 「んっ」 「サンダル履いておいで。 終わったらお風呂場で足洗おうな」 「くっく!」 会話が聞こえるのか、父親はおいでと手招いた。 玄関から自分のサンダルを持ってきた綾登は、大きな吐き出し窓から庭へと駆けていく。 父親の背中に抱き付き、おみず、と舌足らずな声でやりたいことを要望する。 「じゃあ、植え終わったらホースでジャーってするか?」 「やる! はーくっ、はーく」 茄子に胡瓜、トマト。 それから、ほうれん草。 グリーンカーテンのゴーヤと、水をあげる野菜達は沢山。 それから、花も咲いている。 みんなお水が好きだねと言うと、末っ子はあーともすきぃと笑う。 その顔が兄達にあまりにも似ていた。 「おっきくなったな」 「あーと、おっきい?」 「うん。 大きくなった」 軍手を外し、脇の下を掴み空へと掲げる。 うんと大きくなった。 背丈も体重も。

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