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第513話

「じゃ、楽しい誕生日を過ごせよ」 「はい。 正宗さん、今日はありがとうございます」 沢山の種類のケーキを食べ、イチャイチャして、またデートをしながら自宅前までやって来た。 一緒にいる時間がしあわせであればあるほど、分かれ難い。 何回デートをしたってそう思う。 帰宅してからも通話を繋げるのに惜しいものは惜しい。 「可愛い顔しても帰すからな」 「22の男に可愛いは褒めてますか…?」 「褒めてるよ。 遥登だって、弟のこと可愛いって思うだろ」 「まぁ…。 なんか言いくるめられてます?」 しっかりと手を握ったまま、どうでも良い話をして分かれを引き伸ばす。 「遥登は格好良いよ。 最高の恋人だよ」 繋いでいない法の手で頭をわしゃわしゃと搔き混ぜられ、ふにゃっと表情が緩む。 大きくて冷たい手が大好きだ。 触れられるのも好き。 嬉しい。 それが顔に出てしまう。 「帰ったら風呂入ってしっかりあったまれよ。 俺もそうするから」 「はい」 「あと、弟の作るケーキ俺も楽しみにしてるから見せてくれ」 「はい」 それから…、と引き伸ばすのは長岡も同じ。

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