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第515話

沢山のからあげに、サラダ、長男の好きな物ばかりの机の上。 それを見てニコニコしている長男の為に母親は腕に縒りをかけて作った料理は、十数分後にはすっかり綺麗に食べ終わっていた。 綾登も兄達と一緒によく食べ、お腹がいつも以上にぽんぽこりんになっている。 「兄ちゃん、蝋燭刺すよ」 「ありがとう」 「ちがうよ」 「え? 俺、なんか間違えた?」 真ん丸のチョコレートケーキに、綾登は違うと言う。 「くるくる」 「あー、ロールケーキは俺から兄ちゃんへのプレゼント。 みんなで食べるのは、このチョコレートのやつ」 「…そっかあ」 あからさまにシュン…とする弟。 父も母もこればかりは諭す。 「優登から遥登へのプレゼントだからね。 綾登も絵あげたでしょ」 うん…、と頷く頭を父を撫でるが、あの白いケーキが忘れられないのだろう。 三条は優登の方を見る。 優登も兄を見る。 思うことは同じだ。 「ロールケーキも食べよっか。 みんなで食べると美味しいもんな」 「だめよ…」 「駄目じゃないよ。 俺が、綾登と優登と、父さん母さんと食べたい。 みんなにお祝いされながら食べたいから良いんだよ」 「ゆーと」 「兄ちゃんが良いって言ったら、良いんだよ。 味の感想教えろよ」 「ありあと」 「どういたしまして。 楽しみだな」 「うんっ!」

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