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第516話

「はっぴー、ばーばーでー」 「バースデーだよ」 「ばーっでー」 「なんかネイティブっぽくも聞こえるね」 蝋燭に火を灯し、誕生日の歌を歌い、火を吹き消す。 22歳にもなって照れてしまう。 だけど、パチパチと小さな手を叩いて祝福してくれる弟と、隣でニヤニヤしている弟に祝われるのは嬉しい。 勿論、両親からの祝福も嬉しい。 嬉しいけど、少しだけ気恥ずかしさもある。 でも、1年に1度だけの素敵な日だ。 それも良いか。 「はう、だいすきよぉ」 「俺も大好きだよ」 「綾登もお父さんの血が濃いね」 「とーと?」 「綾登“も”って、俺は普通だから」 「優登も大分強いよ」 嫌な顔を隠さず見せる優登に三条と両親は笑う。 父親の好きな人に対して常に強火で向き合うとこが似ているのは、弟達だけではないのだが。 「はい、兄ちゃん。 こっちは綾登の分な」 切り分けられたケーキ。 だけど、明らかに兄の分だけ量が違う。 大きく切り分けられたそれにいつも以上にふにゃふにゃした顔をしている。 「優登、ありがとう」 「ゆーと、ありあと」 「虫歯になんなよ」 「あーい!」 賑やかな食卓がより一層華やかになった。

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