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第518話

コンビニで飲み物を買ったりし時間を使ってから駐車場へと向かうと見慣れた車がやって来た。 すぐに後部座席へと乗り込んだ。 「悪い、待たせちまったな」 「いえ。 今、来たところです。 また会えて嬉しいです」 「なぁに持ってんだ」 「これは……烏龍茶です」 「へぇ?」 コンビニで購入したことなんてお見通しだ。 マスクをしていてもニヤニヤしているのが分かる。 「1本、どうぞ。 冷たいですから」 「ありがとな」 「俺の方こそ、いつもありがとうございます。 たまにはお金を受け取って欲しいです」 「遥登に食わすのが楽しいんだろ。 それより、ほら、誕生日特権」 両手を広げて見せる恋人の胸へと身体を寄せると、ぎゅっと抱き締められた。 それだけで、好きだと実感する。 別に普段から好きだと思うことは多々ある。 食事の時や、オンラインで授業を受けている際だって、思い出しては恋しく思う。 だけど、こうして触れ合っていると愛情を痛感する。 こんなに好きだと。 こんなに愛していると。 お互いの気持ちが伝わり合うかのようだ。 後頭部を撫でる大きな手に安心し、目を閉じた。

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