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第520話

「押し倒してぇなぁ」 「倒し、ますか…?」 「んー? カーセックス、癖になったのかよ」 抱き付いたままの三条の首を爪咲きでツツ…となぞると、感じましたとばかりに肩を跳ねさせた。 三条のこういう素直なところは付き合ったばかりの頃とかわらない。 だけど、スイッチが入った時の欲に忠実なのもまた良い。 グッとくる。 「…………」 「はーると」 「………………ちょっと…だけ、です。 正宗さんと、だから……、俺が…あれじゃなくて…」 殺しきれない音が喉から漏れてしまう。 だけど、これは殺し文句だろ。 恥じらいつつも、気持ち良いことが好き。 更に恥ずかしければ恥ずかしいほど興奮するなんて、普段の品行方正な三条からは想像も出来ない。 他の奴はしなくて良いが。 「またしような」 「……正宗さんとだから…であって、ですよ……」 「うん。 俺も遥登とだから好き」 力の籠る腕。 それが嬉しくて、つい意地の悪いことが口を衝く。 「いつするかな。 明日? 明後日?」 「…今度」 「試験もあるし?」 コクッと動く頭を更に撫でた。 試験勉強で忙しくなれば、またストレス発散が疎かになる。 それだけは気を付けないと。

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