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第522話

「兄ちゃん、ちょっと大丈夫?」 「大丈夫だよ。 どうした?」 「テスト勉強してて、ちょっと教えて欲しい問題あって」 おいで、と手招くと勉強道具を持った弟が隣に座った。 中学に入学してから、なんとなく大きくなったなと思うのは気のせいだろうか。 「ここなんだけどさ、これって…」 はじめての定期テスト。 なにを、どのくらい、勉強したら良いのか分からないのは理解出来る。 勉強なんていくらしたって良い。 だけど、程度の分からない優登にそれを伝えるのは酷だ。 まずはやってみて欲しい。 自分の感覚を知って欲しい。 だから、問われたことにだけヒントを出していく。 「おー、分かった」 「分かった? じゃあ、次のもやってみ」 「うぃー」 問題を解いてる弟に背中を向け、紙袋の中からお菓子を取り出した。 「優登」 「あ! ありがと!」 「勉強してると甘いの食べたくなるよな。 食ってけよ」 「また貰いに来よ」 「良いよ。 それより、解けたか?」 「ばっちり」

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