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第525話

家に向かって歩いていると、見知った頭が2つ並んでいた。 あれ…? 兄ちゃんと綾登だよな でも、今日のお迎えは母さんのはず… 見間違いか?とも思わなくはないが、兄に対して強火担当の自分が間違えるはずないと自負もある。 たっ、と駆けて行くとやっぱり兄弟だ。 「ゆーとっ」 「やっぱり兄ちゃん達だった。 今日、母さんの日だろ?」 「午後から暇になったんだよ。 だから、散歩兼ねてお迎えに来たんだよな」 なぁ!と甘えた声に、兄は嬉しそうに笑った。 帽子の上から頭をグリグリと撫で、弟も嬉しそう。 「優登も一緒に帰ろう」 「てぇて」 「家、もうそこだけどな」 なんて、全然仕方なくない。 嬉しい。 のに、口から出るのは思春期の言葉。 「へへっ」 ちっちゃな手を握ると兄も弟もこっちを見て笑う。 やっぱり、兄弟が大好きだ。 まだ、素直にはなれないけど。

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