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第530話

「ほら、他に欲しいもんも選ぶんだろ。 早く誕生日プレゼント贈らせろ」 ふにゃふにゃの頬を挟む。 なんて顔で笑ってくれるんだ。 この服がブカブカだった時は、想像も出来なかった顔だ。 今では、世界で1番愛してやまない顔。 最高の“今”だ。 「あの…それなんですけど、今日じゃなくて他の日でも良いでしょうか…?」 「構わねぇけど、どうした」 「……昼寝、しませんか」 「あぁ。 しようか」 珍しく、三条が甘えてくれている。 長岡がこれを逃すはずがない。 「それと、この服のまま…が、良いです…」 「興奮する」 「……」 顔や耳が真っ赤になるが、それだけだ。 試しに腰を抱いてみる。 「…っ」 「溜まってんのか?」 「…そうじゃなくて、……なんか、すごく…甘えたい気分でして…」 正宗さんに触られて嬉しいです…、と続けた。 そんなの、長岡じゃなくてもたまらない。 恋人が、こんなことを言ってみろ。 破壊力がすごいから。 だけど、三条が望んでいるのは甘やかされること。 貪りたい気持ちをグッと抑え、ふとんを掴むとそれで三条を包み込んだ。 あげる予定の服が床に落ちたが、甘やかしが優先。 その細い身体を布越しに抱き締めながら、ベッドはと倒れ込んだ。 「何時に起きる? 軽く飯食ってから帰るか?」 「お邪魔にならなければ…」 「ん。 決まり。 じゃあ、今からイチャ付きながら昼寝な」 嬉しそうな顔で頷く恋人と暫し2人きりの世界を堪能する。

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