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第532話

アラームの音に覚醒すると、腕の中の恋人も目覚めた。 まだ日は高いが、もう少しだけゴロゴロしてから軽く食うくらいなら問題はない。 小腹が減ったら、三条に付き合ってもらって夜食を食えば良いだけだからな。 たまには良いだろう。 それにしても、あげたといっても自分の服を着ている恋人はたまらない。 自分のもの感が一層強くなる。 これに首輪も付けたら、完全に襲っている流れだ。 だけど、そんな気持ちを尾首にも出さず笑顔で隠した。 「なに食いてぇ?」 「買い物に、行かなくて良いのが良いです」 「冷凍うどんあるけど」 途端に、三条の尻尾が揺れる。 「ほうれん草はねぇけど、この前切って冷凍しといた葱がある。 たまごもな」 あー、すっげぇ楽しい ここまで材料を伝えればなにを示しているのか分かるだろう。 そういう顔をしている。 玩具屋やケーキ屋で見る子供の顔みたいだ。 「うどん食うか。 かきたまの」 「はいっ」 しっかり頷く頭も可愛い。 愛おしい気持ちを込めて抱き寄せると、小さな笑い声が聴こえてきた。 「その前に、水分補給な」 「もう少し、このままが良いです」 あ゛ー…、ほんっと、やべぇ

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