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第546話
「カルピス飲みたい」
家族を見送った後、口から出たのは甘い欲求。
三男と朝食を食べたばかりだが、それとこれとは入る腹が違う。
氷を沢山入れたグラスで、あの甘くて爽やかなをゴクゴクと飲みたい。
出来れば、自分で希釈するタイプのものが良い。
授業までは時間がある。
駅前のコンビニまでは自転車を使えば15分で往復が出来る。
そうと決めたら三条は行動的だ。
マスクとスマホだけを持って次男がこの3月まで通学に使っていた自転車に跨がりコンビニを目指す。
キャップを被ってくるのを忘れたが、十数分なら良いだろう。
シャーッと駅へと向かいペタルを漕いだ。
通勤通学の人も電車に乗りきり、ゴミ出しをする人もいない住宅街。
天気も良く、気温も上がりきらず、自転車で走るのは気持ちが良い。
穏やかだ。
恐怖と戦っていた頃に比べ、ずっも穏やかさが戻った。
それでも、高齢者も多い地域なので気に掛けるにこしたことはない。
楽しいことを我慢しているのは子供だけではないのだから。
ものの数分で到着したコンビニは外よりも涼しく、毛布にくるまって寝てしまいたい温度だ。
冷房がガンガンに効いた部屋で毛布にくるまって昼寝をしたり、火燵に入って冷たいアイスを食べたり、部屋の温度とは相反することをしたくなる。
なんてことを思いながら店内をあるが、お目当てのものは見付からない。
こればかりはどうすることも出来ない。
綾登のお迎えの時に、スーパーに寄って買っておこう。
氷溶けると薄くなるけどペットボトルので良いか
カルピスと、昼飯も買っちゃおうかな
ペットボトルよ陳列する棚からそれを手に取ると昼ご飯の買い出しをする。
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