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第557話
「大丈夫なんて軽くは言えねぇ。
けど、実際、遥登は沢山努力をした。
そうだろ」
「…はい」
「なら、信じろ」
俺を。
自分を。
努力は、必ず実を結ぶなんてことはない。
報われない努力の方が多い。
けれど、そうと知っていても、努力を出来る人間は強い。
諦めの悪さこそ、粘りだ。
執着は時に恐ろしいほど牙をむく。
言い方なんて、良いようにとれば良い。
基準は自分だ。
長所も短所も紙一重。
「そんな遥登に、なんか買ってやる。
少し休憩しねぇか」
「良いんですか…?」
「良いよ。
アイス食うか?
それとも、お菓子が良い?」
とりあえず入るかと誘うのだが、三条はそっと腕に振れてきた。
「正宗さんと、食べられますか…?」
おずおずと申し出され、その可愛らしさに脳汁がドバドバ出てくる。
「当たり前だろ。
神社行こうな」
「はいっ」
甘やかすのはとても楽しい。
それと同時に、そうすることの出来る関係性に感謝だ。
酷いことを沢山した。
けれど、今はこうして夢を応援出来る。
なんてしあわせな今なのだろう。
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