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第558話

三条は首を横に振ったが、ちょっと良いアイスを購入した。 それとお茶。 日中よりは気温が下がったが、熱中症もこわい。 それらを持ち、商店街の神社へと向かった。 あまり勉強の時間を潰す訳にもいかない。 アイスを食べ終えたら、送り届けなければだ。 三条にバレないように商店街に飾られている時計を確認する。 「このアイス久しぶりに食うから楽しみだ」 「次は俺が出します…」 「出世払いな」 「出世払いって…。 いつになるか分かりませんよ?」 「生憎、俺には解るんだなぁ」 「でっかいファミリータイプのやつ買いますからね。 バニラとチョコのやつ」 「家族だもんな。 分けて食おうな」 「……っ」 照れた顔も可愛い。 この神社の神が、同性愛を認めるかどうかなんて興味はない。 だって、関係ないからな。 頼る時ばかり頼り、そうでない時は無宗教だと言う。 今の日本人は大半がそうだろう。 三条の暮らす土地の神なので、信じていなくても失礼なことはしないつもりだが、イチャイチャはする。 見せ付けてやる。 羨ましいだろってな。 「それ食いながら、ゲームとか最高だよな。 楽しみだ」 「頑張って、早く買えるようになりますね」 「待ってる」 小指を絡め見せ付けるように、神社の鳥居を潜った。

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