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第562話

「まぁた、いちゃ付いてる」 「遥兄」 「ゆーと! かず!」 「綾登、おーす!」 庭に顔を出したのは、次男とその友人。 高校は離れてしまったが、かわらず仲が良い。 それにしても、2人一緒なんて久し振りだ。 遊びに来たのだろうか。 「遥兄、もうすぐ試験なんだって? これ、差し入れ」 エコバッグを手渡され、それを受け取る。 ズシッとした重さから液体らしい。 それから、一樹は綾登にグータッチをした。 ゴチッと拳をぶつけて、三男は喜んでいる。 「お、ジュースが沢山! 良いのか?」 「うん。 いつもお世話になってるから。 優登は俺がお世話してるけど」 「いやいやいや、俺が世話してるじゃん。 受験ん時に、分かんねぇ…って連絡してきたの忘れたのか?」 「あの時はマジで助かった」 無邪気な次男の顔が眩しい。 ちゃんと青春をおくれている。 それが、すごく嬉しい。 沢山の飲み込まなくてはいけなかった理不尽。 それの吐き出し場所はまだないけれど、それでも、この顔は本物だ。 キラキラして、尊くて、有りきりたり。 過ぎてから、その儚さを思い知るんだ。 「なかよしね」 「仲良しだな」 2人の楽しそうな声に、奥へと引っ込んでいた母が顔を出し、夕飯に誘うも差し入れに寄っただけだと断られた。 けど、今度遊ぼうなと綾登とも約束をしたので次男も三男も嬉しそうにしている。

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