部屋に増えた似顔絵に、にこにこしてしまう。 『なぁに笑ってんだよ』 「下の弟が似顔絵描いてくれたんです。 二次試験があるって知らなかったみたいで、また頑張ってねって。 嬉しくて」 『そりゃ笑うな。 嬉しいな』 「一次の結果は分かりませんけど、次も頑張ります」 その言葉に長岡は頷く。 ８月の頭に結果が届くが、二次試験はそこから三週間もない。 半ばの試験に向け、勉強をやめることは出来ない。 そんな中での癒しと言えば、弟達と恋人。 『早いな。 教師になりたいって聴いたのがすげぇ昔みたいだ』 「もう４年も前になるんですね」 『早ぇな』 「でも、４年後も正宗さんといます」 画面の向こうの長岡がふわっと空気を和らげた。 『そうだな』 声も嬉そうだ。 長岡の教えてくれた道。 それは、決して平坦ではない。 黒いとこも見た。 だけど、やっぱり心を離さないんだ。 だから、手を伸ばす。 こんなに暑くても関係ない。