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第581話

「40分で大丈夫か?」 「ん」 「アラームセットしたから、寝ような」 2人で後部座席へと乗り込み肩をくっ付け合う。 こてんと三条の頭が落ちるのを、長岡は抱き寄せた。 「俺の夢みろよ」 もう返事はないが、それでも良い。 隣にいるのだから。 気温だけで体力が消耗する。 たったの十数分外にいただけでも疲れたと思う。 それにサンダルは軽くて良いが、スニーカーとは歩き方が異なる。 どうしても身体の筋肉を使う。 だからより疲れる。 サラサラの髪の幾房かが額や頬に張り付いていた。 そっと触れて剥がしてみると、思わずキスがしたくなる。 数年前まではそうしていた。 その癖が抜けない。 いや、抜けなくても良いか。 いつかやってくるその日まで。 この子にすべてを押し付けるつもりはないが、この子の今の頑張りがこれからをかえる。 かえられるだけの力を持っている。 だから、どうか。 そうでありますように。 名前の通り。 丸い頭に自分の物をくっ付け、長岡も目を閉じた。 どうせなら、同じ夢が見れたら良い。 脳味噌を近付けてみるが、どうだろうか。

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