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第582話

小五月蝿いアラーム音に目を覚ますと、隣から伸びてきた細い指が画面を撫でた。 「わり、マジ寝してた…」 「いえ。 俺はスッキリしましたから」 三条は、いつものようにふにゃっと笑ってみせた。 その顔が愛おしい。 「ほんと寝起き良いな」 頬をグリグリ撫でてやり、愛おしい気持ちを伝える。 愛されることを素直に受け入れる可愛い恋人。 しあわせだ。 この子との夢はみられなかったが、それでもしあわせな気持ちは本当だ。 「正宗さんは眠そうですね」 「んー、少しだけな」 眠いは眠いが、車内が冷えてきたことと三条の清潔なにおいのお陰だろう。 日中の疲れ、という訳ではない。 やはり、恋人の存在は大きい。

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