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第596話
コンビニの前で待っていると、長岡はすぐに出てきた。
「待たせたな。
暑かったろ」
「平気です。
それより、買い物ありがとうございます」
「ん。
じゃ、行くか」
明るかったコンビニ前から、また夜に紛れる。
夜は平等だ。
手を繋いだって良い。
駐車場はすぐそこだけど、すごくしあわせだ。
帰ったらまた勉強だが、今くらいはそれらを忘れ恋人との時間に全振りをする。
愛車の元へと辿り着くと、長岡は直ぐ様冷房を効かせてくれる。
そして、冷えきらない車内で早速アイスを頬張った。
「んまぁ…」
とろりと蕩ける甘さ。
甘くて、冷たくて、至高だ。
「美味いな」
喉の奥での笑いを含んだ声に、恥ずかしさが顔を出す。
貴家に子供っぽかった。
最近の暑さにガリガリした氷の入ったアイスばかり食べていたこともあり、乳成分の多いアイスが沁みたのは本当だ。
だけど…。
だけどもだ。
「……正宗さんと一緒だから」
「へぇ?」
「……」
「俺も遥登と一緒に食えて美味いよ」
チラッと隣を一瞥すれば、マスクを外し綺麗な顔が此方を見て微笑んでいた。
そんな小さなことだって好き。
長岡の全部が好きだ。
いつも、こうして見守っていてくれる。
それにどれほど救われているか。
「いつも、ありがとうございます」
「ん?
俺、なんかしたか?」
「アイスとか、休憩とか」
「んなの、俺がそうしてぇからだよ。
遥登こそ、付き合ってくれてありがとな」
優しさに甘えながらアイスを食べ、少しだけ休憩だ。
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