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第597話

「ごちそうさまでした」 「美味かったな。 ゴミ貸しな」 「あ、ありがとうございます」 ゴミを纏める横顔に、そっと近付いた。 「ん? どうした」 「ちょっとだけ…」 「沢山で良いだろ」 「ほんとに…?」 腕をとられ、また抱き締められる。 長岡のにおいと汗のにおい。 少しだけ甘いにおいがするのはアイスのせいだ。 「本当。 よく頑張ったからな。 ご褒美は必要だろ」 ぶんぶんっと尻尾が揺れだすのを隠せない。 だって、嬉しい。 大好きな人に抱き締められて嬉しくない人はいない。 格好良いから好きなんじゃない。 顔が綺麗だから好きなんじゃない。 長岡が長岡だから好きなんだ。 抱き締められていると、それを強く思う。 心が無防備になってもこわくない。 「一次のご褒美はどうすっかな」 「デートが良いです」 「今してるだろ」 「会えるのが、1番嬉しいです」 「ったく…」 「二次も頑張れます」 「応援しか出来ねぇけど、ここにいるからな」 「心強いです」 襟足を撫でる手が、ふと止まる。 「遥登。 待ってるからな」 穏やかな声。 だけど、力強くてしっかりと気持ちを届けてくれる。 無理矢理ではなく、そっと手渡してくれるような。 長岡の優しさだ。 「はい」

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