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第598話
お盆なんて関係ない。
二次試験は目前だ。
黙々と勉強をする三条の部屋に誰かが訪れた。
「コンコンッ。
おやつやさん です」
「おやつ…もうそんな時間か」
エコバックを自分の頭の上の高さまで持ち上げ、引き摺らないようにしている綾登はニコニコしたまま部屋へと入ってきた。
可愛らしい猫のエコバックは、末っ子が持つと下を引き摺る。
そうしないように腕を上げたら疲れるだろうに、にっこにこだ。
「なにがすきですか」
「見て良いですか」
「どーぞっ!」
ピスコや1口マシュマロ、個包装のお煎餅。
グミまである。
かち割られた梅干しも。
「どれも美味しいやつだな。
どれにしようかなぁ」
これ美味しい!とおすすめしては、こっちも好き!とまたおすすめ。
2人でエコバックを覗き込んでいると、部屋にもう1つ影が増えた。
「俺の作ったクッキーもあるよ」
「マジ?」
「ガチ」
「ゆーとのっ、くっきー!」
タッパーに詰められたクッキーを持った優登もやって来た。
これは、賑やかなおやつの時間になりそうだ。
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