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第600話

弟達が階下や自室へと戻り、部屋の中は静寂が包む。 そんな中でも勉強は続く。 少しでも多くのことを頭に詰め込みたい。 理解したい。 噛み砕きたい。 伝えたい。 だけど、おやつを食べたからか目蓋が重くなってきた。 『少し休憩だ』 「え…?」 『休憩。 今覚えたことを頭に定着させる時間だ』 ソファに寝転びながら本を読んでいた長岡は、身体を起こし本を脇へと置いた。 本当に目敏い人だ。 『それと、少しだけ昼寝するから付き合ってくれ』 「はい」 『うん。 良い子だな』 長岡に習い、床に寝転ぶとサラッと髪が溢れた。 家のシャンプーのにおい。 恋人が恋しくなり、ベッドの上へと手を伸ばした。 すぐに落ちてきたシャツを抱き締める。 自宅のものとは違う洗剤のにおい。 それと、恋しいにおい。 『軽くで起こすから』 「はい」 どうせなら、長岡の夢をみたい。 隣で眠る夢。

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