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第604話

キリの良いとこまで。 もう少しだけ。 そんな自分に都合の良い言葉を選び、時刻は3時。 流石に寝た方が良い時間だ。 日中に昼寝をして体力回復を謀るにしても、ある程度は生活リズムを整えておかないと休み明けに厄介だ。 付箋に、おはようございますと挨拶を書き、更に熱中症に気を付けるようにメッセージを書き足した。 長岡の起床時間にアラームで起きていたのを、夜中まで勉強をするなら少しでも睡眠時間を確保しろと止められ、最終的にはこの形に落ち着いた。 顔を見られない寂しさはあるが、長岡が家を出るまでには目覚めるので、いってらっしゃいと言えるのは嬉しい。 やっぱり、好きだと思う瞬間でもある。 そうして出来上がったそれをカメラから見える位置に貼り付ける。 少しだけ擦れ違いをしてしまうが、今が踏ん張り時。 ジャンプの前の縮こまるあの瞬間が今。 長岡もそうしてきたのだろう。 不思議だ。 憧れに、手が届きそうなんだ。 あんなに遠くに見えていた“ロマン”が、机の上に広がっている。 キラキラ。 ピカピカ。 だけど、濃い影もくっきりと見えている。 これが、教職。 ふとんに潜り込み、綺麗な寝顔をぼーっと眺める。 沢山、話したいことがある。 沢山、傍にいたい。 沢山、沢山、したいことがある。 全部長岡とだ。 頑張ろう 「正宗さん、おやすみなさい」 小さな声は外の虫の声に混ざる。 今日も、夢の中で会いたいです

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