612 / 638

第612話

恋人のベッドに素肌が触れている。 いつぶりだろう。 においも、恋人だけ。 しあわせだ。 ずっとここにいたい。 そんな思いが伝わっているのか、長岡は三条の脚を跨ぐようにベッドへと乗り上げてきた。 腰から下のスプリングが沈む。 まるで閉じ込められているみたいで嬉しい。 「さいっこうの眺めだな」 雄の顔だ。 ゾクゾクする。 早く、食われたい。 早く。 「なに考えてる」 「あ、の……」 右の口角だけが上がる。 分かっていて聴いている顔だ。 「正宗さんの、こと…」 「俺のこと?」 「久し振りで…、嬉しい……」 「俺も嬉しい」 ワイシャツの中に着ているシャツが捲られ薄い腹が明るい部屋に晒される。 こんなにドキドキしているのがバレてしまいそうだ。 「あ、の、俺…汗かいてて…」 「興奮する」 「…っ」 「知ってるだろ。 俺が、どれだけ遥登のこと好きか」 「…っ、」 身体の奥がジクジクと疼く。

ともだちにシェアしよう!