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第613話
恋人の汗のにおいなんて、興奮するに決まっている。
それに、頑張った証拠だ。
それが嫌なはずない。
捲り上げたシャツの下の素肌にちゅっと吸い付く。
腹筋がピクッと跳ねるのが三条らしくて愛おしい。
試験前だからと性的な接触は控えていたが、本当は触りたかった。
自分のだって痕も付けたい。
だけど、邪魔をしたくないのも本当。
過ぎてしまえば利口になって良かったと思う。
「今日は少しだけ触るからな」
「さわ…る…?」
「そ。
腹とか太股とか」
言いながら、ソコをつつ…っと爪先が触れるか触れないかの距離でなぞると一気に顔が蕩けた。
たまんねぇ…
我慢してたのは遥登もか
ゾワゾワした快感が引かないのか手を彷徨わしている。
それだけで三条の快感の濃度が解る。
触れることの出来なかった時間ごときが消すことは出来ないモノ。
今日はひたすら甘やかすと決めた。
今日の為に大学生活の多くを使ってきたんだ。
たった1日の為に、心と身体まで傷付けて。
見守ることしか出来なかった。
だけど、隣で見守ることが出来た。
それを許してもらえたのだから。
ベッドに散らばる髪を梳きながら耳へと唇を寄せる。
「愛されてろ」
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