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第622話

根本まで埋め込み、腰を止める。 動きたいのはやまやまだが、流石にそれは出来なかった。 与えたいのは痛みではない。 「…ま、……っまさ」 「居るから安心しろ」 腕をほどき、首にかけるように誘導する。 マスクのせいで呼吸が苦しそうだ。 ズラしてやれば良かったか。 頭の中は思いっきり犯したいという汚い欲と、加護欲が責めぎ合う。 今は理性を飛ばす時ではない。 ジリジリと焼かれていく理性を堪え三条の呼吸に意識をやる。 「……ハァ…、ハァ…っ」 「息も上手だな」 「も……、と、」 「もう少しこのまま」 顔のすぐ隣にある頭に頬を擦り寄せた。 清潔なにおいに汗のにおい。 それに整髪剤のにおいが混じっている。 大人のような姿に少し寂しさもあるが、反面嬉しくもある。 夢を叶える姿をこんなに近くで見られるのだから。 「もど、かし…」 「んー、痛くねぇか」 くっ付く頭が何度も上下する。 アナルもヒクヒクとしゃぶってくる。 大きさに馴染んでくれているのなら、遠慮はない。 「はっ、…ん、…んん…ッ…」 ゆっくりと根本まで押し込んでいく。 肉の生々しさに腰から快感が全身に拡がっていく。 久し振りの行為に締まりは増しているが、どうやら痛みは感じていないらしい。 多生の痛みなら快感に変換してしまう恋人だ。 こればかりは様子を見るに越したことはない。 「で、か…ぃ…」 「根本まで入ってるからな」 「…ひさし、ぶり…です…」 「ん、久し振りだな。 最高に気持ち良い」 思わずキスしたくなるのだグッと堪え、軽く腰を揺すった。

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