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第624話

もうお互いに喋る余裕なんてない。 三条の喘ぎ声と動物みたいな荒い息遣い、ベットの軋む音だけが聴こえてくる。 耳まで気持ち良くて、どうにかなりそうだ。 「あ゛っ、あ゛ッ…あ…っ」 だけど、それだけで良い。 三条に塗れさえ出来れば他はいらない。 この子さえ居てくれれば良い。 甘ったるい考えしか出来なくなっているのに、その恋人に対しての行動は酷いものだ。 弁にカリを嵌めたまま、ねちっこく腰を回す。 その度に細い身体はベッドの上を跳ね、アナルをキツく締め上げる。 「ぅ゛……ッ、」 「…は、……」 冷房が効いているはずなのに、しっとりと汗ばみ身体の奥からアツい。 それらはセックスの際に燻るや疼くと表現されることがあるが、そんな可愛いもんじゃない。 もっとメラメラと燃え上がり、火柱が巻き起こる。 お互いの身体を蝕み尽くすまで消えやしない。 「ぁ…、ぇ……、っ!!!!」 三条の腰を掴んだまま、腹筋だけで2人の体重を支え対面座位へと体位をかえた。 すると自身の体重で更に奥を刺激することになった三条。 可愛そうなほど喘ぎ、声が掠れてきていた。 「ぉ゛…、ぁ゛……、ァ゛…」 長岡の陰茎もすぐにでも射精しそうなほど昂っているが、心が恋人をもっとだと求めている。 足りない。 セックスをしても足りない。 貪欲な欲求。

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