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第628話

「素麺、何束食う?」 「1…」 「珍しいな。 あ、ご家族との飯あれか」 「あ、いえ。 いや、からあげを沢山作ってくれるとは言ってましたけど、そうではなくて…。 だって、その素麺高いやつです…」 長岡が手にしているのは値段のする素麺。 実家暮らしの三条だって分かる物だ。 しかし、その値段相応の味の物。 細くてつるつるっと、いくらでも腹に入ってしまう物だ。 「あぁ。 頂いたんだよ。 一緒に食おうぜ」 「でも…」 「遥登と食いてぇなぁ」 ボコボコとお湯が沸いてる隣で甘えたように身体をくっ付けてきた。 ちらっと見上げる先で、長岡は小首を傾げた。 これに弱いのを知っていてやっていると理解していても、受け入れてしまう。 チョロい自分は、こうやって恋人に甘やかされている。 「…じゃあ、お言葉に甘えさせてください」 「甘えてんのは俺だろ。 んじゃ、一緒に食おうな」 「はい。 ありがとうございます」 「お礼は後でもらう」 「え゛…?」

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