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第634話

甲斐甲斐しく世話を焼いた三男は、満足そうな顔で寝室へと行った。 楽しかったのなら良いのだが、世話焼きが楽しいかは綾登の感受性次第だ。 そんな幼くも賢い弟がぐっすりと眠った深夜。 三条は、恋人と穏やかな時間を過ごしていた。 『長男が三男に甘やかしてもらったのか』 「はい。 そういうところは、次男にそっくりです」 『遥登にも似てるだろ』 「俺は、そんなに優しくないですよ」 誕生日にもらった長岡の服を着てベッドに寝転ぶ。 この時間が、今はとてもしあわせだ。 同じ時間を過ごせることのしあわせも、長岡の優しさに抱かれることのしあわせも、今は全部一人占め。 自分だけの長岡だ。 『優しいよ。 それは、謙遜するな。 俺が嫌なんだよ』 「正宗さんが…?」 『俺の恋人だからな』 「…はい」 『照れんなよ。 本当のことだろ』 愛されることのしあわせに浸り1日を終える。

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