634 / 699
第634話
甲斐甲斐しく世話を焼いた三男は、満足そうな顔で寝室へと行った。
楽しかったのなら良いのだが、世話焼きが楽しいかは綾登の感受性次第だ。
そんな幼くも賢い弟がぐっすりと眠った深夜。
三条は、恋人と穏やかな時間を過ごしていた。
『長男が三男に甘やかしてもらったのか』
「はい。
そういうところは、次男にそっくりです」
『遥登にも似てるだろ』
「俺は、そんなに優しくないですよ」
誕生日にもらった長岡の服を着てベッドに寝転ぶ。
この時間が、今はとてもしあわせだ。
同じ時間を過ごせることのしあわせも、長岡の優しさに抱かれることのしあわせも、今は全部一人占め。
自分だけの長岡だ。
『優しいよ。
それは、謙遜するな。
俺が嫌なんだよ』
「正宗さんが…?」
『俺の恋人だからな』
「…はい」
『照れんなよ。
本当のことだろ』
愛されることのしあわせに浸り1日を終える。
ともだちにシェアしよう!