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第661話
机の上には、美味そうな皿が並んでいる。
その中でもオムライスはすごい。
ウインナーの入ったケチャップライスを薄焼きたまごでくるんだ隣に、からあげとたこの形のウインナー。
子供が喜びそうなそれに、大人である年齢の長岡は笑みを溢した。
「さいっこうだな」
「へへっ」
「ありがとな」
何度食べたって美味い物は美味いし、しあわせなものはしあわせだ。
しあわせに、区別はない。
大人でも子供でも、女でも男でも、そう思えたあわせなんだ。
「いただきます!」
頬張るといつもと同じ安心する味がした。
これが食べたかった。
恋人と一緒に。
「うめぇ」
隣でにこにこしながら同じ物を頬張る恋人の作ってくれた料理に手を伸ばす。
スープも美味い。
「美味ぇ。
これ、すげぇさっぱりしてて美味いな。
マリネとサラダの間みたいな味がする」
「お口にあって良かったですか。
セビーチェって言う、中南米のマリネです。
この前テレビで観て美味しそうだったので作ってみたら夏っぽくて美味しかったんです。
正宗さんも好きそうな味だなって思って作ってみました」
「へぇ。
ちゃんと夏休みしてて安心した」
やっと試験が終わり、ゆっくりと夏休みを満喫しているなら良かった。
そんな話をしながら食事を進める。
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