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第664話
細い身体を服の上からまさぐる。
「まだっ、食事中…」
「んー?」
甘い空気を出しつつも手は止めない。
試験のストレスか、8月頭はもう少しほっそりしていたように見えた。
元々の細さもあるが、半袖シャツの袖から覗く腕や首から鎖骨へのラインは骨張っていた。
男の身体だから骨場って見えたって、そうだろうっと頷ける。
だけど、そうではなくて、もっと近くにいる人間だから気が付けるようなもの。
悟られることなく確認しつつ、恋人の身体を別の意味でも堪能する。
「ケツっ、なんで揉むんですか…」
「ケツは揉むもんだろ」
「なんですかそれ…。
ケーキ、まだ残ってますから」
「あー」
こんないじらしい姿を見せられたら、たまらないに決まっているのに、三条は素直をケーキを運ぶ。
「子供みたいですよ」
「遥登にしか見せねぇし」
「またそういうことを…」
隠すこともない関係性。
すべてを見せることが出来るのは、恋人だけだ。
学校での姿と、私生活での姿。
その両面をみても、かわらず接してくれる。
それにどれほど助けられたか。
他人に興味はなくとも、他人に触れれば疲れる。
教員という職業上、誰にも触れないということは出来ない。
公務員だらうと、土日だって会議が入ることがある。
そんな時でも、ふにゃっとした顔をして正宗さんと名前を呼ばれるとしあわせな気持ちになる。
それに、どれほど助けられたか。
「良い日だな」
「誕生日ですから」
「なら、もっと甘やかしてくれよ」
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