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第672話
帰宅後手洗いをしていると後ろから抱き締められた。
ふわふわと良いにおいがして、それが包んでくれる。
「あ、の…」
「あぁ、俺のことは気にせず洗ってくれ」
「でも…」
服の裾から入り込んでくる手に慌てて泡を流すのだが、長岡はお構いない。
先に手を洗った長岡の手はしっとりとしていて、肌の上をすべる感覚がいつもと少し違う。
「俺も終わりますから…」
「ゆっくりで大丈夫だからな」
「…っ、」
指先が乳首に触れ、背中を丸めてしまう。
「ん?
どうした」
「……なんでも、ないです」
意識しているとばかりの反応は恥ずかしい。
恥ずかしいが、してしまう。
だって、意識しているから。
好きな人に触れられて意識しないなんて無理だ。
首筋に感じる息遣いにまで意識がいってしまう。
「早く独り占めしてぇなぁ」
「終わりました…」
「独り占めして良いか?」
「はい。
されたい、です」
胸から下りてきた手にそれを重ね、媚びた目を向ける。
外デートは勿論楽しい。
一緒に食べる昼飯だって、とびきりに美味しい。
だけど、こうして触れ合える部屋デートも好きだ。
2人っきりで、誰にも遠慮をせずに恋人を独り占め出来るから。
「ここでも楽しいよな」
「正宗さんとなら…、どこでも…」
「じゃあ、まずはここ。
次はベッドな」
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