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第680話
お菓子を食べながらコーラを飲む。
大きいサイズのポテトチップスを買ったのだが、こんなのすぐになくなってしまう。
甘いのとしょっぱいの、それに炭酸飲料。
みんな大好きな組み合わせ。
それを差し引いても、今日は殊更ご機嫌だ。
だって、久し振りの部屋デート。
最高だ。
「良い日だな」
同じことを思っていたらしく、長岡は誰に言うわけでもなく言葉を呟いた。
だらりと床に座る長岡の髪がキラキラしている。
太陽の光の下で会うのが久し振りみたいに思える。
月明かりの下も良いが、こうして太陽光でキラキラ縁取られる姿もとても格好良い。
「はい。
良い日ですね」
本当に誰に言うわけでもなかったらしく、長岡は此方を見た。
それから優しく微笑んでくれた。
だけど、それはすぐに悪戯っぽいものへと姿をかえる。
「遥登、俺にも」
あ、と口を開ける恋人の口元へお菓子を差し出すとすぐに口の中へと消えていった。
弟にもしている行為だが、相手が恋人となると照れてしまう。
「遥登も」
逆に差し出されたお菓子に唇をつつかれる。
「ほら、口開けな」
「……あ」
恥ずかしいがこの食べ方も好きだ。
だって、食べるとこの顔が見えるんだ。
綺麗な顔が自分のことで咲き乱れる。
この世界のどんな美しいものより綺麗。
こんなしあわせなことはない。
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