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第683話

どこかでバイクの音がする。 その音に目が醒めたのは、三条だけではなかった。 「やべぇ、ガチ寝してた…」 「おはようございます」 「はよ。 ははっ、目が眠そうだな。 今、何時だ」 スマホへ手を伸ばしつつも、抱き締める手は離さない。 というより、無意識だろう。 長岡は甘やかしが上手く、しかもそれの殆んどは無意識だ。 すっかり慣れた三条はされるがまま。 だけど、長岡が動くとボトムが動かされてしまいその身体と共に体重移動してしまう。 それに気が付いた長岡は一瞬だけ動きを止めた。 「ケツ触ってんな」 「触ってますね」 「冬だな」 「冬ですね」 2人で笑い合う。 小さなことで良い。 共有出来るのが嬉しいから。 季節の移ろいも、描くも。 長岡はスマホをとるのをやめ、ケツを掴んで引き寄せた。 「目が覚めて、遥登が居てくれんの最高だな」 愛おしさを隠さない声に耳まで喜んでしまう。 「俺も、最高です」 だから、同じものを手渡す。 大好きだから。

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