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第684話
家族揃ってのある日の夕食。
綾登は頬をふくふく膨らませてご飯を食べている。
それが可愛くて、思春期の次男でさえ時々弟を盗み見ていた。
「あした、おいもなの」
「明日、お芋掘りだね」
「うんっ」
保育園が借りている畑にはさつまいもがスクスクと育っていて、それを園児達に引っこ抜かれるのを待っている。
三条が保育園児だった頃もあったそれ。
泥んこ遊びとはまた違った楽しさがあったのをよく覚えている。
自宅でも次男と共にトマトやほうれん草を育てている三男にとっても、楽しい行事だろう。
「綾登。
採ってきたさつまいも、なにして食べるんだ?」
「ごはん!」
「さつまいもご飯美味しいよね」
「俺、中華ポテト食いたい」
「兄ちゃん好きだよな」
「好きすき」
季節はすっかり秋だ。
だけど、三条の家は食欲の秋など関係なく春夏秋冬いつも多くの食事が並んでいる。
綾登も小さいながらよく食べる。
そのお陰かスクスクと元気に育っていた。
「おいし?」
「美味しいよ。
甘くて、カリカリしてんの」
「あまいー」
にっこりと笑う綾登に父も母も笑う。
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