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第685話
スモッグに長靴、帽子を被った子供達が畑に並ぶ。
まだまだ小さな子供達が並ぶと一際可愛い。
「綾登くん」
「はぁい!」
「蛍ちゃん」
「はーい!」
点呼と共に元気な声が響く。
いつもと違う場所と、これから行う行事にワクワクしているのが伝わってくる。
「はい。
みんな居ますね。
じゃあ、今日はみんなでお芋掘りをします」
「おいも、すき!」
「先生も好き。
美味しいよね」
さつまいも掘りの説明──怪我と喧嘩さえしなければ満点──をし、早速掘り始める。
多くのことを言うより、大切なことを約束する。
小さな手が泥んこ遊びの時のように土を掴む。
土のにおい。
感触。
園庭の土とは違うと分かるそれを掴んではどんどん端に集めていく。
暫くそうして土を掘っていふと固いのがあった。
“それ”を見付けると、子供達の表情はかわった。
「あ!
おいも!」
まるで宝探しだ。
見付けられるまで、どんなさつまいもが見付かるのかワクワクする。
丸いの、細いの、大きいの、沢山の。
そして、見付かると目をキラキラさせて先生やお友達に教える。
「おっきい」
「あ!
みつけた」
長靴の中に土が入ろうが構わず掘る。
そして、掘り出されたさつまいもをしっかりと握りにこにこの顔だ。
「綾登くん、おっきいの掘れたね」
「うんっ!
おっき!」
両親と兄達と共に、さつまいもご飯と中華ポテトを楽しみにする綾登はご機嫌な顔で記念撮影をした。
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