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第686話

「たあいまっ」 「おかえり」 母親と帰宅した綾登は一目散に兄達の元へと駆け寄った。 そして、ビニール袋に詰められたさつまいもを掲げる。 「おいもだよ!」 「おー、でけぇな」 「綾登が掘ったのか? すごいな」 「おいもごはんなの」 ね!と母親を振り返ればそっくりの顔が、頷いた。 甘いさつまいもご飯ときたら、おかずは甘辛い味付けが進む 里芋の煮っころがしや鶏肉の照り焼き。 こてっとした物と食べたい。 それらを箸休めでリセットしたら、またいくらでも食べられる。 まして、末っ子が掘ってきてさつまいもなら一際美味しいだろう。 兄弟達の顔がそっくりになる。 「はい、綾登は手洗おうね。 それから鞄を片付けよっか。 遥登達とも記念撮影するんでしょ」 「する! まっててっ」 さつまいもを抱き締めてチョロチョロ動く姿は、有名なアニメ映画の1シーンみたいだ。 あの子はとうもろこしだったが、大好きなお母さんに食べて欲しいと大切に抱えていた。 綾登にとって自分達もそうだと良いなと思いながら、兄達は食べ掛けのお菓子を隠した。

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