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第697話

目を覚ますと視界の端で細い指がスマホを撫でていた。 目が覚めた瞬間、目の前に恋人がいてくれる心地良さに口元が緩む。 このまま寝たフリをして甘えるのも良いが、それでは不公平だろうか。 いや、公平不公平も大切な基準だが、そうではなくて。 一緒の方が良い。 「遥登」 「あ、おはようございます」 こちらを覗き込んできた顔に手を伸ばす。 「はよ」 「え、…」 そのままスルリと首に手を回し、抱き寄せる。 細く軽い身体は簡単に自分の上に乗った。 あったかくて骨張っていて、それが三条だと理解するのは十分だ。 「忙しくねぇならイチャイチャしようぜ」 「イチャイチャって…」 「例えば、ケツまさぐるとか」 「俺も…まさぐって良いんですか…?」 「えっちぃ」 「……正宗さんから言ったのに」 膨れた顔を隠すように抱き付いてくる背中に腕を回し、自分の上から落ちないように固定する。 忘れることないこの感覚。 早く毎日こう出来たら良いのにな。 「すれば良いだろ。 人間はみんな変態だ」 「…それはそれでなんか…」 「じゃ、俺はまさぐろう」

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