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第702話
首元を緩めたといっても、セーターを着ているので正確には首元しか楽になっていない。
ジャケットも着たままだ。
「続きも見せてやるよ。
目ぇ、逸らすなよ」
ジャケットとセーターを脱ぎ捨て、ワイシャツにネクタイ、スラックスと身軽な格好を晒す。
たったそれだけで、三条は顔を真っ赤にした。
『……っ』
初なくせに、持ち前の学習能力のせいか好奇心旺盛。
その興味に誘われこれだ。
自身の照れに関してはあまり学習しないが、それすらたまらないったらありゃしない。
それに加え、こんなに分かりやすく反応をしてくれれば楽しい。
長岡も充分過ぎるほど楽しんでいる。
ネクタイを引き抜き、カメラを見る。
スクショをするというより、頭に焼き付けているといったばかりの顔だ。
だけど、それを指摘することなくワイシャツのボタンへと指を伸ばした。
外れていくボタン。
どんどん見えていく素肌…と言いたいところだが、寒いのであたたかな保温効果のあるシャツだ。
「ちゃんと見てるか」
『……はい』
ボトムスに挟み込んでいた裾を引き出し、次はベルト。
金属音。
フロントボタンが外れる音に、チャックの下りる音。
“ナニ”かを想像してしまう音が続く。
カメラを見れば、三条の上気した顔。
三条も同じ“ナニ”を想像してしまうらしい。
10人いれば9.5人が同じことを想像するだろうが、三条──つまり恋人と想像するのは2人での行為だ。
そっちの方が、ずっといやらしい。
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