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第703話
『……待ってください、あの…、動画にします…っ』
「あと下着だけなのに、えっち」
『…っ!!』
そうだったとばかりの顔に、つい笑ってしまう。
他意はないんだろう。
いやらしい意味などなく、単に手元に残しておきたいんだろう。
各言う自分もふとした瞬間の三条をカメラに収めたいと思うことは多々ある。
嬉しそうに笑った瞬間や、美味しそうに頬を脹らませる瞬間、待ち合わせ場所で見付けられた瞬間。
そんな瞬間が、今なのだろう。
『あ…、そ、いう意味じゃ…なくてですね……』
「ふぅん?
俺のこと、おかずにしてくれんのかと思ったのになぁ」
『……しても、良いんですか…』
「当然だろ。
恋人だぞ」
『……します』
動画にしたことを確認すると脱衣の続き。
わざとベルトを引き抜き、それからワイシャツを脱いだ。
肌着の上からスウェットを着、カメラを見た。
『…、』
たっまんねぇ顔してんな
好き、好き、抱いて欲しいとばかりの顔をしている三条に、長岡もムラっとしてくる。
腹が減っているので、腹を満たせばいくらかは性欲も満たされるだろう。
今はそれに目を瞑り、着替えの続きだ。
ボトムスを脚から落とし、これまた適当なボトムスへと脚を通した。
最後にシャツを被って乱れた髪を、これまた適当に整えておしまい。
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