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第705話

「美味いんだろ」 『……秘密です』 「教えてくんねぇの?」 『…俺だけの秘密です』 自分の行為に自信がある訳ではないが、三条のよがり方を見ていると気持ち良いのだろうと思う。 なのに自分は前立腺を抉られる感覚すら知らない。 今後、三条以外とセックスをするつもりはないので一生知ることのない──三条が挿入したいと言ったら1週間程しこたま悩む──快感。 そう考えると三条は自分より経験者だ。 幼さの残る顔で。 なんだかムラっとしてくるようだ。 『チン、長くないですか?』 「下ネタか?」 『違います…っ。 流石にそんな小学生みたいなこと言いませんよ…』 そんなに長いか?と電子レンジの加熱時間を確認すると丁度0になる瞬間で、すぐに電子音が響いた。 だが、可愛い恋人をからかった罰だろうか。 「やべ、加熱し過ぎたか。 あっちぃ」 『火傷しないでくださいね』 袖を伸ばし取り出すとホカホカと真っ白い湯気がたっている。 作業台に一旦置き、ラップを少し破り冷ます。 三条ではないが、これでは熱すぎて食べられない。 冷ます間に沸いた湯でインスタント味噌汁をつくり、ペットボトルからお茶をマグに注ぐ。 そんな短時間で冷める訳もない。 熱々の米をからあげののった皿にあけ、それと味噌汁の碗を机へと運ぶ。 三条の目線はからあげだ。 「俺とどっちが好き?」 『え…? からあげと、正宗さんですか?』 「からあげ好きだろ」 『正宗さんですけど…』 「マジで?」 『はい。 え、からあげに負けてると思ってるんですか?』 「まぁ、そうだな」 『へへっ。 正宗さんの圧勝ですよ』 「そりゃ、嬉しいな」

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