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第709話

自慰にあまり時間をかけたくない。 かけたくないというのは些か語弊がある。 みんなが使う風呂という空間と、長岡には秘密で長岡をおかずにしていることに若干の罪悪感を感じている。 だからこそ早く終わらせしまいたいと思ってしまう。 『きもちいな』 だけど、気持ち良い。 男だから陰茎を擦れば快感を選られる。 射精をすれば気持ちが良い。 単純なつくりだ。 まして、長岡とのハメ撮りをおかずにしているのだから極上に決まっている。 それにしても、画面の中の恋人の雄みがすごい。 息遣いまで思い出してしまう。 『あーあー、ちんこからダラダラ汁垂らしやがって。 キス好きだもんな、はーると』 甘ったるく名前を呼んでくれる。 だけど、行為は激しくてサディスティック。 そのギャップにクラクラする。 「…すき…」 思わず口を就いた。 キスも、長岡も好き。 好き 好き 大好きだ 「…、……っ」 ドピュッと性を吐き出すと、一気に頭が冷えていく。 いや、身体も冷えている。 や、っちゃった… 入浴が最後なのでにおいは大丈夫だろう。 その点は特に心配はない。 やはり、罪悪感が消えない。 トイレでヌけば良かったと頭のどこかで思いながら、汚れた精液を水で流した。

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