710 / 728
第710話
ドライヤーで髪を乾かし、まだ紅い顔を隠す。
これなら画面越しならバレないだろうと部屋に戻ってきた。
「お待たせしました」
『逆上せたか?』
「いえ。
大丈夫です」
目敏いのはいつものことだ。
教師という職業上、普段から生徒達をよく見ていて小さな変化でも気付き声をかけているせいだ。
体調なんかの変化をみるなら顔色が1番分かりやすい。
職業病なのか長岡は普段からそれをする。
『平気なら良いけど、しんどかったら横になれ』
「はい。
ありがとうございます」
別に隠している訳ではない。
訳ではないが、わざわざ言うこともないだろう。
『大丈夫ならゲームするか?
コツ聞いたんだよ』
「あ、やりたいです!
フルボッコにします!」
『その顔でフルボッコにしますって…。
ほんと…』
長岡はクックッと笑った。
顔と内面は全く関係ないと本人だって言うのに。
でも、たのしそうな顔も好きだ。
見られて嬉しい。
「営業はしません!」
『言ったな。
ボコし返してやる』
まだまだ夜は長い。
たのしい時間は続く。
ともだちにシェアしよう!