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第713話

アクセサリーは実用性はない。 だけど、気持ちに寄り添ってくれる物だ。 お守りだったり、証だったし、強くなれるアイテムだったり。 自分にとっての指輪がそうであるように。 ブレスレットは…、なんか引っ掻けそうなイメージなんだよなぁ ネックレスは、すげぇ似合う 指輪は、本物が良いしな イヤーカフも似合う… 以前、プレゼントしたタイピンも大切に使ってくれている。 そうやって使ってもらえるような物が良いが、なんでも似合うとなるとまた難しい。 削除式で選ぶ方が早そうだ。 シンプルな服装のことが多い長岡。 シャツ1枚でも様になる恋人を更に着飾る。 それも、自身の独占欲でだ。 なんだかドキドキする。 伊達眼鏡もえろい… 視線はスマホに向けたまま、炬燵の上の蜜柑を手にする。 片手で取れても剥くのは難しく、結局スマホを伏せて皮を剥く他ない。 指を突き入れると爽やかなにおいがふわふわとかおった。 まるで長岡の香水みたい。 そのにおいに気が付いた頭が振り返り、あーっと口を開けた。 「みかん、ちょーだい」 「それ剥くのか?」 「そっち」 「良いよ。 半分こな」 「ありあとっ」 小さな手が受け取ると、すぐに口に運び出した。 今度は弟に対し可愛いなと思いながら、三条も同じ蜜柑を口に運んだ。

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