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第717話
「さんたさん、くるかなぁ」
「来るだろ」
「どこから?」
「フィンランド」
「ふぃ…?」
組み立てたツリーに、ご飯を食べ終わった弟達が飾りをのせる。
といっても、次男は箱から飾りを取り出し三男に渡すだけだが。
だけど、次第にキラキラと煌めき出すクリスマスツリー。
みんながいる場所をキラキラとさせる。
わくわくとドキドキが入り交じった子供みたいな楽しい空間。
「寒いとこ。
待ってな、…ここ」
スマホの画面を見せても、それは地図。
綾登は首を傾げた。
「真面目だな」
「え、違うの?」
「いや、そうだよ。
フィンランド」
「どこ?」
「寒いところだよ。
サンタさん、もふもふしてるだろ」
「こたつ、あげたいね」
「あげたいな」
小さい優しさについ笑みが溢れる。
その間に他の言葉を足したのか、優登はもう一度スマホを見せた。
「あ!さんたさん!」
「トナカイもいるじゃん。
でかいな」
「うんっ!」
目をキラキラさせて、一生懸命にキラキラした言葉を紡いでいる。
まだ甘い呂律で一生懸命に気持ちをつたえようとするのか可愛い。
「サンタとトナカイに、クッキー作るか?」
「ゆーとと?
したい!」
「分かった。
約束な」
「やくおく!」
とびきりの声に両親も嬉しそうな顔をする。
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